2024/01/30

訪問看護ステーション経営の実態とは?経営戦略における重要なポイントを解説

訪問看護ステーション経営は、高齢化社会や医療の進化に伴い、ますます注目を集めています。この記事では、訪問看護ステーションの実態を明らかにし、成功の鍵となる経営戦略の重要なポイントを解説します。訪問看護ステーションの経営に取り組む予定の方は、公判で紹介する訪問看護の経営を学ぶ方法を参考にしてみてください。

訪問看護ステーションの経営とは

まずは、訪問看護ステーション経営の概要と収益の仕組みを解説します。訪問看護の事業経営における重要なポイントです。これから事業所の経営を予定している方は確認してみてください。

(1)概要

訪問看護ステーションの経営は、在宅医療の需要拡大に伴い、患者宅へ医師や看護師を派遣することで事業が成り立つ経営のことです。開業するうえで経営者に特定資格の必要はありませんが、事業運営において看護師や保健師などの有資格者の職員を確保する必要があります。

(2)収益の仕組み

ビジネスの視点から見ると、訪問看護ステーションは収益性が高い分野といわれています。基本的な収益の仕組みは、訪問看護指示書に基づいて看護職員等が患者宅を訪問し、看護処置を実施することで診療報酬や介護報酬を得て売上を出します。厚生労働省の「令和4年度介護事業経営概況調査」によると、2021年度の訪問介護事業所の平均収入は1ケ月300万3千円であり、1回の訪問あたり約8千円に相当します。しかし、訪問看護の運営において最も大きな費用がかかるのは人件費です。訪問看護は常勤で2.5人分の看護師等を配置する必要があります。これらを踏まえ、訪問看護ステーション経営は、人件費を抑えて効率よく訪問回数を増やすことにより高い収益を確保できる事業です。

訪問看護ステーション経営の実態

訪問介護ステーション経営は高い収益性があるといわれていますが、その実態について詳しく解説します。

(1)売上は毎年黒字で推移している

厚生労働省が調査している「令和4年度介護事業経営概況調査結果」によると、2021年度の決算収支差率は税引き前で7.2%、2022年度は5.9%と、毎年黒字で推移しています。この調査結果からも、訪問看護事業は収益を出しやすい事業であることがわかります。

(2)毎年わずかながら収支が悪化している

例年黒字で推移しているとはいえ、年々わずかながら収支が悪化しているのも事実です。以下は、過去3年分の決算収支差率をまとめた表です。

年度算収支差率(税引き前)
2022年度5.9%
2021年度7.2%
2020年度9.0%

2020年度・2021年度はコロナ補助金が含まれていたことを考慮しても、年々の収支は減少傾向にあります。考えられるよう要因としては、訪問回数の減少、人件費の増加が挙げられます。しかし、訪問看護の需要は拡大する予想です。訪問看護ステーションの経営に取り組む際は、今後の訪問看護事業の動向を見極めつつ健全な経営体制が求められます。

訪問看護ステーション経営の成功に必要なこと

訪問看護ステーション経営が黒字を出しやすいとはいえ、訪問看護の知識はもちろん、課題を理解しなければ経営はうまくいきません。ここでは、訪問看護ステーション経営の成功に必要なことを解説します。

(1)人材の確保

訪問看護ステーションの経営は、訪問回数が増えるほど売上が上がる仕組みです。したがって、経営陣は訪問看護師を確保し、訪問回数を増やすことに務める必要があります。また、人材の確保はより良い在宅看護の提供を可能にし、事業所の評価を向上させ、新たな利用者の獲得につながります。訪問看護の需要が拡大している現在、どの訪問看護事業所も看護師等の人材確保に動いています。他社に遅れをとらないためにも、まずは人材確保に努めることが重要です。

(2)利用者の確保

看護師等の人材確保と同様に、利用者の確保も重要です。看護師は確保できても利用者が集まらなければ経営は成り立ちません。現在、在宅看護の需要が高まっていますが、利用者がどの訪問看護ステーションを選ぶかは、質の高い看護サービスや看護師の人間性などが大きな要因です。また、一定の利用者を確保すると、営業活動が難しくなるケースがあり、地域の医療機関やケアマネージャーとの関係が希薄になると、新たな利用者の獲得につながりにくくなります。これらのことから、訪問看護ステーションの経営では、利用者が求めるものを軸に方針を掲げ、定期的な営業活動によって利用者の確保を続けることが重要です。

(3)人材の定着と育成

訪問看護を含む、医療機関全体で看護師不足が課題になっています。これは、看護需要の拡大、看護師の定着率および復職率の低さが主な要因です。したがって、訪問看護ステーションの経営を維持するためには、しっかりと人材育成の体勢を整備し、キャリアアップ等のサポートを行うことが求められます。これにより、人材の定着率は向上と、新たな人材確保に期待できます。

(4)綿密な事業計画・収支計画の作成

訪問看護ステーションを設立する際、ある程度の運転資金を準備しておくことが大切です。しかし、綿密な事業計画や収支計画を立てなければ、売り上げが伸びずに運転資金は底をついてしまいます。そのため、独自の判断でおおよその事業計画や収支計画を見込むのではなく、訪問看護ステーション専門のコンサルタントに相談をすることが必要です。

訪問看護ステーション経営における戦略的ポイント

訪問看護ステーション経営における戦略的ポイントを解説します。事業所経営を軌道に乗せるために、以下のポイントが重要です。

(1)開業予定エリアの特性を調査する

訪問看護ステーションを開業する前に、周辺地域の人口構成や推移、医療機関・介護サービス事業者等の把握が必要です。これらを把握することにより、適切なサービスの提供や効果的な営業戦略を決めることができます。

(2)最小限の体勢で経営を開始する

訪問看護ステーションは訪問型サービスです。経営が軌道に乗るまでは、大がかりな設備を導入した事業所を準備する必要はありません。また、人員においても、「常勤の看護職員を2.5人、看護師資格を持つ管理者を1人」という基準を満たした最小限の体制での運営開始が理想とされています。

(3)随時収支の調整を図る

訪問看護ステーションの事業計画は、開業後の曽根季分岐点の予定を明確にした収支計画を立てることが重要です。損益分岐点とは、売上と支出が同じ額(売上ゼロ)になることを指し、経営状況を把握する上で非常に重要です。作成方法は、月単位で約2年分の収支計画書の策定が望ましいとされていますが、個人で策定するには難しい点があります。そのため、訪問看護ステーション経営の専門家やコンサルタントと相談をしながら作成することが重要です。

(4)需要と供給のバランスをとる

訪問看護ステーションの経営は、訪問看護の需要と供給のバランスで成り立つ事業です。需要があっても供給する側の人材を確保できなければ経営はうまくいきません。もちろん、需要がないにもかかわらず人材を過剰に確保していては、人件費が増えるだけで経営はうまくいきません。そのため、訪問看護の需要と供給のバランスを見極めるために、開業予定地の人々が訪問看護をどれくらい必要としているかを理解し、それに合わせたサービスを提供することが重要です。地域の医療や介護の状況をよく知り、必要なサポートを的確に届けることでステーションの成長が期待できます。

訪問看護ステーション経営を学ぶ方法

訪問看護ステーション経営は、ビジネスに関する知識がなければ難しいものです。そのため、経営に対するモチベーションは高いものの、経営に関する不安を拭えない方は多いと思います。ここでは、訪問看護ステーション経営が学べる2つの方法をご紹介します。

(1)訪問看護ステーション経営のオンラインスクールや講習会に参加する

訪問看護ステーション経営は、多くの企業や団体が講習会を実施しています。この講習会に参加をすることで、訪問看護ステーション経営の基礎知識や収益を出す秘訣等を学ぶことが可能です。また、すでに別の業種で経営を経験している方や、同じ目標を掲げる同志が多数参加しているため、開業に向けての不安の解消につながります。さらに、訪問看護ステーション経営はオンラインスクールで学ぶことも可能です。これから事業を開始される方に対して、訪問看護の価値や業務拡大のノウハウ、人材育成のポイント等を学ぶことができます。このように、さまざまな形で訪問看護ステーション経営は学べるため、ご自身に合った方法で経営者としてのスキルを身に着けてみてください。

(2)訪問看護ステーション経営のコンサルタントに相談する

訪問看護ステーション経営を始めるためには、法人登記やステーションの解説手続きをはじめ、事業計画書や収支計画書の作成が不可欠です。これらは、専門的な知識が必要であり、とくに事業計画書等の策定は綿密に行わなければ、開業後の経営が立ち行かなくなります。そのため、独自で取り組むのではなく、訪問看護ステーション経営を専門にするコンサルタントに相談しながら進めることが重要です。コンサルタントは、経営に関する知識だけでなく、訪問看護ステーション経営に携わってきた経験を持っています。そのため、経営者自身では気づけなかった点を指摘してもらえるなど、失敗のリスクを取り除き、事業経営を成功に導いてくれる存在です。

まとめ

訪問看護ステーション経営は、訪問看護の需要拡大に伴い、今後さらに必要とされる事業です。経営においても黒字になりやすく、開業するメリットは大いにあります。しかし、訪問看護に関する知識はもちろん、周辺地域へのマーケティング等を行い、綿密な事業計画に基づき運営することが重要です。コンサルタントへの相談を視野に入れて、事業成功を目指してみてください。

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