看護師の人手不足にどう対応すべきか|現場への影響や対策について

公開日:2024/02/04

現在、病院や訪問看護の業界では看護師の人手不足が深刻化しています。これは、経営・運営のみならず、人命にも影響を及ぼしかねない状況です。この記事では、看護師の人手不足が現場に与える具体的な影響や対策について解説します。看護師の人手不足で悩まれている事業者さまは、最後まで読んで改善につなげてみてください。

看護師数の現状と今後

現在、大小問わず多くの医療機関が看護師の人手不足を課題に抱えています。まずは、看護師数の現状と今後を解説します。

(1)看護師の有効求人倍率は約2倍

看護師の人手不足を評価する重要な指標のひとつが「有効求人倍率」です。現在、看護師の有効求人倍率は約2倍といわれており、これは求人に対する応募が半分以下であることを示しています。つまり、看護師の需要が供給を大幅に上回っている状況です。今の看護師がまったく足りていない現状は、看護師ひとりあたりの業務負担が増加し、医療の質の低下や患者へのサービスに影響を及ぼすことを意味します。

(2)2025年には約6~27万人の人手不足を予想

現状、看護師の人手不足は深刻な状況ですが、2025年にはさらに人手が不足すると予想されています。実際に厚生労働省は、さまざまな状況を想定して2025年に必要な看護師数と実際に確保できる看護師数を想定した際、2025年までに必要な看護師188~202万人に対し、最大182万人程度の看護師の確保にとどまると発表しています。そのため、各医療機関は、看護師の確保に向けて、国と協力しながら早急に取り組むことが必要です。[真山1] 

医療における看護師数の重要性

看護師の人手不足は、医療現場に深刻な影響を与えます。以下は、医療機関における看護師数の重要性です。

(1)患者の安全性

看護師の人数は、患者の安全を守るうえで重要です。本来、医療や看護の必要度によって異なりますが、医療機関は患者7人もしくは10人に対して看護師をひとり配置しなければならない基準が設けられています。これは、医療ミスの防止や看護の質を高めることが目的です。しかし現状は、看護師の人手不足を理由に、看護の必要度に関係なく、多くの医療機関が看護師ひとりあたり10人の患者を担当しているといわれています。看護師ひとりの業務負担は大きく、ケアレスミスの発生など人命を預かる医療機関において死活問題と考えられます。

(2)病床の減少

看護師の人手不足は、医療機関の病床に影響を及ぼします。看護師が足りないことで患者を受け入れることが難しく、どうしても病床を減らさざるを得なくなるのです。これは、円滑な運営を難しくするだけでなく、経営面にも大きな影響を与えます。事実、看護師不足を理由に閉院や冒頭の閉鎖に迫られている医療機関は増加している状況です。

看護師の人手不足の原因

看護師の人手不足を解消につなげるためには、根本の原因を把握することが重要です。主な原因は、以下のものが挙げられます。

(1)看護需要の拡大

高齢化社会や慢性疾患患者の増加による看護需要の拡大は、看護師の人手不足の大きな原因です。訪問看護や入院患者が増加する一方、看護師の配置が追いついていない「医療看護における需要と供給のバランスが崩れている」という状況になっています。

(2)業務負担の増大

看護師の人手不足は、働いている看護師ひとりあたりの業務負担が増えることを意味します。業務負担は看護師の離職に影響を及ぼしており、2017年度に日本医療労働組合連合会が看護師向けに実施したアンケートによると、実に8割の看護師が「仕事を辞めたい」と回答しています。さらに、仕事を辞めたいと回答したうちの半数は「業務や責任の重さ」が理由です。したがって、看護師の人手不足は、いかにして離職率を下げるかが、看護師不足を解消するポイントといえます。

(3)不規則な勤務形態

看護師は、日勤と夜勤、オンコール対応など非常に不規則な勤務形態をしています。この不規則な勤務形態は、看護師の離職率を高める要因のひとつです。プライベートの時間を確保するのが難しく、とくに子どものいる看護師は、子育てと仕事の両立の難しさからやむを得ず看護師を辞めているケースが多くみられます。

(4)高い離職率

業務負担の多さ、不規則な勤務形態などを理由に、看護師の離職率は非常に高いのが現状です。潜在的な離職希望者は現役の看護師の約8割にも上り、新たに看護師を採用しても離職率が高いため、人手不足の解消につながっていません。そのため、看護師の待遇や職場環境を改善し、定着率を高めることが求められています。

看護師の人手不足が現場に与える影響

看護師の人手不足は、医療現場に深刻な影響を及ぼします。具体的な影響は以下の通りです。

(1)医療ミスの発生リスクが高まる

看護師の業務負担が増加や勤務時間の長さからくる疲労やストレスにより、看護師の判断力や集中力は低下してしまいます。これは、医療ミスの発生リスクを高める要因です。最悪の場合、誤った処置によって人命に影響を及ぼす重大な医療事故が起きる可能性があります。医療の質の低下だけでなく、病院の信用問題、経営問題にまでつながります。

(2)医療現場の負担が増える

看護師の人手不足は、医療現場の負担を増やす要因です。看護師ひとりあたりの担当患者は増え、責任の重さと過重労働により、心身のストレスをもたらします。その結果、医療ミスや離職につながり、さらなる人手不足を招いてしまうのです。

(3)看護師の離職者が増える

看護師の仕事に関する不満は離職につながります。離職率を改善しなければ、新たな人材を採用しても現場の人手不足は解消されません。看護師の新規採用数より離職数が上回れば、医療現場は崩壊してしまいます。したがって、新たな人材確保と同時に、看護師の待遇や職場環境を見直して定着率を高めることが必要です。

(4)看護師のキャリアップが難しくなる

現場の仕事に忙殺される日々が続くと、キャリアアップに向けた勉強時間を確保することができません。看護師としての将設計が立てづらく、モチベーションを下げる恐れがあります。その結果、離職や医療ミスなどの問題につながります。

(5)病棟閉鎖・閉院

看護師の人手不足が深刻化した場合、患者数に対して十分な看護師を確保することができません。医療や看護サービスの提供が難しくなった結果、病棟閉鎖や閉院につながります。これは、事業者だけの問題ではなく、地域医療に影響を与える重大な問題です。したがって、病棟閉鎖や閉院を避けるために、早急な看護師の確保に取り組む必要があります。

看護師の人手不足を解消につなげる対策

看護師の人手不足は、医療機関だけでなく、地域医療に影響を及ぼす重大な問題です。そのため、人手不足を抱える医療機関は、早急な問題の解決が求められます。以下は、看護師不足の解消につながる主な対策です。

(1)給与や手当の増額

給与や手当を増額することで、看護師のモチベーションを高めることができます。業務はもちろん、働く環境に対する不満の解消につながるため、定着率の向上に効果的です。また、給与アップは他の医療機関との差別化につながり、新たな人材確保を可能にします。このように、看護師の人手不足問題は、まず看護師の待遇を改善し、安心して働ける環境を整えることが重要です。

(2)福利厚生の拡充

福利厚生を充実させることで、看護師にとって働きやすい環境を作ることができます。たとえば、育児休暇をはじめとする休暇の利用促進などです。福利厚生の充実は、新たな看護師の採用に効果的であり、人手不足を解消につなげます。また、経営状況によって給与や手当の増額が難しい中小の医療機関は、福利厚生を拡充することでコストをかけずに定着率を向上が期待できます。看護師が抱える不満と、現状の福利厚生を再確認し、安心して働ける環境づくりを目指すことが大切です。

(3)医療DXの導入

医療DXとは、医療デジタル技術のことです。電子カルテや電子処方箋など、医療現場にデジタル技術を導入することによって、看護師の業務負担を減らすことができます。これにより、人手不足は解消につながり、質の高い看護を提供することが可能となります。CareMakerの導入も、訪問看護や介護現場におけるケアとは関係のない間接業務に該当するスケジュール調整業務の効率化に貢献します。

(4)キャリアアップサポートの整備

キャリアアップサポートの体制を整えることで、看護師の定着率向上に期待できます。具体的には、新人トレーニングをはじめとする研修機会の拡充、キャリアプランの提供などです。充実したサポートは、看護師のモチベーションアップはもちろん、組織全体のレベルの向上をもたらします。

(5)政府支援の活用

看護師の人手不足は、医療機関だけでなく政府も危惧している問題です。それにより、看護師の定着率向上、看護師の服飾支援、看護師の養成に関する支援に取り組んでいます。具体的な内容は、以下の通りです。

  • 看護師の定着率向上

都道府県医療勤務環境改善支援センターを通じて、医療労務管理アドバイザーや医療経営のアドバイザーのサポート支援を行っています。これにより、看護師の定着率向上における課題や対策が明確になり、適切な対応をとることができます。

  • 看護師の復職支援

政府は看護師の人手不足の解消として、看護師資格がある方に復職を呼びかけています。現在の復職支援には、都道府県ナースセンターに必要な情報を登録することで、求人情報や復職に向けた研修等が受けられる制度があります。これにより、ブランクがある方でもスムーズに看護師に復職することが可能です。

このように、政府の支援策を活用することによって、看護師の人手不足を解消につなげることができます。また、政府は看護師の養成にも取り組んでおり、「看護師養成所における社会人経験者の受け入れ準備・支援のための指針」をもとに、看護師養成学校の学費の一部負担等を行っています。

まとめ

現在、全国の医療機関は看護師の人手不足に直面しています。これは、単純に看護師が不足しているだけでなく、高齢化社会等による看護需要の拡大、それに伴う看護師の業務負担の増加が影響しているためです。対策としては、看護師の待遇改善やデジタル技術の導入等によって定着率の向上を図ることが必要と考えられます。看護師の人手不足に悩まれている事業者さまは、政府の支援策を活用しながら人材確保を目指してみてください。

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